夜間飛行

アラサー女のオタク生活記録

舞台「時子さんのトキ」感想 観劇前と後で二人の印象が全然違う

お久しぶりです! まこです!!
9月にして今年初めての観劇!!!!!しました!!!!!!!!嘘でしょ!!!!!?

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(会場内ビジュアル取り忘れがち、というかポスターあったか?)

いや本当は推しの主演舞台がたくさんあったんです、チケットもたくさんあったんですよ。シアタークリエに立つ姿を見たかった。
でも2020年、例のあれで公演は軒並み中止、舞台によっては再開したかと思ったら数日でまた公演中止に・・・

特に私は、近場とはいえ関東圏外からの遠征になるため、会社からも東京移動NGが出ており半年以上自粛期間を過ごしていました。

朗読劇や控えの間、ファンクラブによる過去イベの動画配信など様々な形で姿を見てはいましたが、やっぱり演技をする姿を劇場で見られる体験は格別でした。今年初めて拍手をしました。

 

舞台「時子さんのトキ」 東京公演観劇してきました!!!!やっと言えた!!

tokikosan.com


以下ネタバレを含む感想です

 

シナリオについて

お話は、時子さんという名前のバツイチ女性が、ある日売れない路上シンガー翔真と偶然出会うところから始まる。
翔真は正直歌は上手くない。けれど、youtubeの動画を見るうち路上ライブに通うようになり、翔真と時子さんは少しずつ親密な関係になっていく。
九州でやるライブに呼ばれたけど遠征費用が無い、ボイストレーニングを受ける資金が無い、翔真がお金で悩むたび、時子さんは快く資金提供を申し入れる。
出世払いで大丈夫だよ、と笑って渡すと有難う、と感謝してくれる。今度返すね、と約束してくれる。
決して恋愛関係にはないが、離婚して離れ離れになった息子に出来ないことをしてあげているようで充足感があった。
そんな関係が何年も続き、翔真に貸した金額は1,000万を超えていた。疎遠になった息子は小学生から大学生へ成長していた。
しかし、大金を第三者に貸している事実は、周囲から見れば詐欺にあっているように感じるらしい。
ある時、詐欺被害者救済NPOの職員が時子さんの職場を訪れ、現実を見るよう説得してくる。
貸しているお金を返すためには、翔真は歌をあきらめ別の仕事を探さないといけない。それは嫌だった。
別れた夫、母と父のどちらと暮らすかで父を選んだ息子、翔真の知り合いを名乗る女性、陰口ばかりの職場、お世話になっているスナックのママ。
息子の心が離れた日、止まってしまった時子さんのトキはどこで動き出すのか

 


いや~~~~~まず公式サイトのメインビジュアル見てほしいんですけど(また貼る)

tokikosan.com

わたし、この写真みて時子さん=ホステスなど夜の仕事についててクズを囲いこんじゃう依存症タイプの人
翔真=音楽なんて真面目にやる気は全くなく人から金をだまし取って生活してるガチ屑
だと思ってたんですけど違うね、全然違った。むしろこれは翔真+息子?
実際舞台上にいた時子さんはもっとその辺にいる等身大のオバサンで、翔真は才能が無いのを自覚しながら音楽をやりたい若者だった

特に翔真が、音楽を真剣にやりたいけど中身が伴わない夢追い人なのがしんどかった
路上ライブや動画配信もするけど、チラシ配りもライブ遠征にも何となく及び腰になってるところとか
アンチコメント、ボイトレなど歌が上手くないことを自覚させられる場面をなるべく避けるところとか、歌を別のことに置き換えたら誰にでも経験あることだと思う……つら……
もし時子さんと出会っていなかったら、もっと早い段階で北海道に戻って実家の農業継ぐっていう現実的な選択肢を取るしかなかったんだろうけど、
資金援助によってそれが続いてしまったことは彼の幸せでもあり不幸でもあるんだろうなあって……

 

大金の貸し借りをしていても時子さんと翔真の間には(多分)恋愛関係や肉体関係が無くて、でも中盤お金で少し揉めた時に、翔真が時子さんを抱きしめてキスをしようとするのね
時子さんは即腕を振り払って拒否するシーン、翔真が時子さんへの後ろめたさに理由を付けるためにそうしたのかなって思った
恋人なら援助してもらっても問題ない、でもただの一ファンからここまでしてもらう理由が無い
追い詰められた翔真が自分を正当化するためにそういう態度を取ったのであって、きっと時子さんのことを恋愛感情込みで好きではなかったんだろうなって
もちろん、側に寄り添ってくれる人としては大切にしていただろうし、時子さんを騙してやろうって気持ちは元々なかったように感じた
いや複数人の女性から嘘ついて援助してもらったりバイトしてないのにしてるって言ったり悪いところはあるんだけども!

夫が離れ、息子が離れ、何もなくなってしまったふところにスッと入り込んできた翔真とのやりとりは、他人が簡単に指摘できるほど騙す・騙されるの関係だけではないんだろうな
作中、時子さんは翔真の嘘に気づくシーンが多いからこそ、翔真がただのクズだったらここまで応援しようと思わないとおもう
社会から取り残されたように感じてる時子さんの中で、翔真を支えることが人生の支えになっていたんだろうな

そんな歪な関係を続けてきた中で、翔真の実家が自然災害によって大きな被害を受けたことを知り、時子さんは復旧費用として750万を貸すことに決める
これ! 時子さんへの借金1,000万のうち750万はこの実家の被災補填なんだよね
実家が被害を受けた今、歌で稼げない翔真に出来るのはすぐに実家に戻って復興の手伝いをすること
それを全額時子さんが補てんすることで翔真はまだ夢を見続けられる
いざ現実的な選択を迫られた時に、それをしなくていいよ、今のままでいいよって言ってくれる時子さんの存在は翔真にとってどれほど大切で、残酷だったんだろうなって……
それこそお母さんと同じくらい、無条件で自分を愛して守ってくれる時子さんにどこまでも甘えてしまうから、NPOに知られて詐欺に近い金銭の取引が明るみになってある意味良かったのかなと思う

 

あと実家の農家が被害にあって~ってあんまりにも嘘っぽくて、絶対これ信じちゃダメなやつ!!!って思ったけど事実だったの凄くないですか!?
時子さんも内心嘘だろうな…って思ってただろうから、本当だってわかった時のほっとした気持ちと、巡り巡って親まで知られてしまった羞恥心とが辛い ううう……
時子さん役の高橋さんの演技が本当に自然体というか、どこにでもいる普通の女性っぽかったためか、登場人物を身近に感じすぎちゃって一緒に辛い気持ちになった……
それでも、最後に息子のトキくんと向き合って止まっていた自分の時間がようやく動き出す、って素直な演出のお陰で、これから時子さんも翔真もそれぞれの場所で歩いていくんだろうな、ってすっと入ってきた
ただ、時子さんは翔真から口座に返済額が振り込まれる度隣にいた日々を思い出すし、完済した日は泣いちゃうんだろうなって思う
一緒に過ごした時間は嘘じゃないし無駄じゃないからこそ、止まっていた時を思い出す時があってもいいんじゃないかなって
それは時子さんもそうだし、翔真もそうあってほしいなと思った

 

とにかく、幕が下りた瞬間さっぱりとした気分になる舞台でした。

 


演出や舞台設計について

「今」しかできない舞台!って感じ
2020年をリアルに生きてる私たちにとって、飲食店の席をこまめに消毒したりマスクの付け外しをしたり来客に検温したり…っていうのはもう一般的な光景になっちゃってるけど、
それを舞台上で何度もやるのにはびっくりした
正直感染症問題で劇場に行くこと自体何度も何度も悩んだから、現実と切り離したお芝居のなかでもそれをやるのか~って最初は面食らってしまった
でもコミカルに演じてもらえてるし、モノローグによる過去回想も多いからマスクしてるところのシーンは2020年!って分かりやすくもあった
2020年の人間が生でやる舞台だから受け入れられる演出って感じがしました、多分映像作品だったら後々見返すと何してるのか分からないよね(円盤にはなるけど)

 

出演者の衣装が皆白色で統一してあり、時子さんだけが色つきワンピースでいるのは正直終盤まで気付かなかったです 
皆アンサンブルもやるしそういう服装なのかなって……
ラスト、止まった時計が(物理的に)動き出してから出てきた息子が色つき衣装で出てきたとき あ!って思った、恥ずかしい
思い当たってからは、時子さんの世界は本当に彼女一人しかいなかっただな、とか、あんなに近くにいる翔真も真っ白なんだとか逆に考えすぎちゃったから良かったのかもしれない
終演後パンフレット読んでその部分は納得しました

 

座席が上手のはじっこだったんですが、大きな舞台装置に遮られることもなく、落ち着いて見やすかったと思います
ず~~っと舞台ど真ん中に小便小僧が置いてあるのよく考えるとシュールw


登場人物について

上にも書いたけど、時子さんが本当に身近なおばさんだった
リアクションが大きくてイチイチ古いの。キスを拒んだあと、距離を取ってから唇と股間を手で隠すの何!?マジで!?って驚愕した
ノローグが多いのに噛まないでしっかり伝えてくれるの凄い、聞き取り易くて嫌味が無い女優さんでした

 

翔真はクズだけど悪くなりきれない男性
知り合ったらもれなく不幸になりそうだけど、隣にいる間はめちゃくちゃ幸せにしてくれるんだろうな
ほんとに生で拡樹くんを見るのが久しぶりすぎて、最初エアギター弾いてるの見たとき胸がいっぱいになったな……
前あった朗読劇の時は、こっちが心配になるくらい噛みまくりとちりまくりだったので、きちんと稽古期間取れたみたいで安心しました
真っ白な服似合う男ランキング2020第一位

 

矢部太郎さんのランドセル姿を見られるのは時子さんだけ!(誇大広告)
兼役で何役かやってましたけど、NPO法人の男の喋り方めっっっちゃ腹立つ!!でもこういう人いるわ!!!分かる!!!
自分の中でこういう時はこう話す、って台本が出来ちゃってて、終始棒読みになる役所の人みたいで笑っちゃった
演技の幅が広い人だ

 

あと私が好きだったのは翔真の支援者その2の女性w
コテコテのヤンキー女性で前髪も上げてオラついてくるのにやっぱり優しいの、嫌いじゃないなぁ

 

 

感染症対策について
今だけの特別対応、実施される主催者側もご苦労があったことと思います
既に千秋楽を終えた頃書いているので、何事も無くて本当に良かったです

どのような対策があったかだけメモ程度に書いておきます。私個人としては全く不安は感じませんでした。

 

・座席は前後左右空けの互い違い、1列目は使用せず3列目の人にはフェイスシールド配布(ほとんどの方つけてた)
・チケット確認前に体温チェック、踏むタイプの靴裏消毒、いたるところに手指消毒液設置
・チケット半券は自分で切る
・物販はパンフ+数点、DVD予約は基本WEB誘導、現地で予約用紙記入する際は未使用・使用済みボールペンを分けて管理
エスカレーター乗り口に係員の方が常駐、前のお客さんと間を空けて乗るよう指導

 

あとコロナ関係ないけど初めてのよみうり大手町ホールでした。

駅直結なの100万点あげたいし中の施設も綺麗だしトイレも混んでないし(これは座席数絞ってるだけかも)椅子もふかふかだしここ大好き、また来たい

 


は~~~思い返すと久しぶりの観劇でしたがとてもとても充実した時間になりました
やっぱりお芝居見るの好きだな~~~

GOTOトラベル系も始まってるし対策を万全につつ、チケット取り解禁しました。幽白は全落ちなので配信祈願、あと血界舞台も見たいし来年の最遊記は絶対取る(決意)
9月のこの感想をだらだらと書いているうち、10月頭にペルソナ5の舞台第二弾も見てきたのでその感想も早めに書きたいです!!

あとGW中暇でなんとなく書いたあつ森記事が死ぬほど読まれててびびった、みんなちゃちゃまる好きだね私も!!!!!